男性薄毛治療薬
AGAは、年齢とともに進行していく慢性疾患です。
AGA治療薬は、進行を抑制する効果があり、予防的意義が大きいため、抜け毛が気になった時点から早めに服用を開始し、予防に努めることをおすすめします。
プロペシア
プロペシアは、1997年にアメリカのメルク社によって開発され、現在、世界60カ国以上の国で販売されています。日本でも2005年厚生労働省に承認され、国内で初めて発売された男性型脱毛症(AGA)治療薬です。
プロペシアは、AGA治療に最も有効な薬の一つとされている「フィナステリド」を主成分とし、このフィナステリドが、Ⅱ型5αリダクターゼ(還元酵素)の働きをブロックして、薄毛、抜け毛の原因を改善させます。
根本的な原因を抑制することで抜け毛を防ぐことができ、薄毛の改善を促すことができる治療薬です。
プロペシア 28日分 | 9,700円(税込) |
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内服薬(自費診療):初診料2,880円、再診料1,250円がかかります。
プロペシアの副作用
プロペシアの副作用として、以下のような項目が挙げられます。
- 初期脱毛
- 勃起不全・性欲減退
- 肝機能障害
- うつ症状
薬を服用し始めてすぐに現れるものもあれば、長期間服用することで現れるものもあるなど、これらの副作用は、服用する方の体質によってもさまざまです。万が一少しでも身体に異変を感じたときには、すぐに医師にご相談ください。
- プロペシアは、服用量を守って続けることが大切です。効果を発現させるには、6ヶ月以上は連続して服用を続ける必要があります。
- 服用中は献血ができません。
- 前立腺がん検診を受ける場合、薬服用中は測定するPSA値が通常よりも低くなるため、プロペシアの服用を医師に報告する必要があります。
- 20歳未満での安全性が確認されていないため、未成年には処方できません。
- 触れただけで吸収される「経皮吸収」の成分なので、未成年や妊娠中の女性、妊娠の可能性がある女性に触られないように管理する必要があります。
フィナステリド
フィナステリド錠は、プロペシアの後発医薬品(ジェネリック医薬品)で、効能・効果は先発品と同等で治療料金を抑えたい方におすすめです。
フィナステリド錠は2015年に国内で承認を取得したことをきっかけに、さまざまな医薬品メーカーから販売されるようになりました。
プロペシアと効果は同等で、有効成分フィナステリドが、Ⅱ型5αリダクターゼ(還元酵素)の働きをブロックして、薄毛、抜け毛の原因を改善させます。
フィナステリド1mg 28日分 | 8,250円(税込) |
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内服薬(自費診療):初診料2,880円、再診料1,250円がかかります。
フィナステリドの副作用
フィナステリドは、長期投与試験期間中における副作用(臨床検査値異常変動も含む)の発現率は数%程度と報告されており、比較的安全な薬と考えられています。
ただし、問題なく服用を継続していても、体調の変化といった要因で副作用が現れることもあります。異変を感じたらすぐに医師へ相談できるよう、副作用について正しく把握しておくことが大切です。
以下は、フィナステリドの主な副作用の特徴です。
肝機能障害 | フィナステリドは主に肝臓で代謝されるため、肝臓に負担がかかり肝機能障害が起こる場合があります。 ただし、フィナステリドを主成分とするプロペシアの使用成績調査によると、肝機能障害の発現率は0.2%程度と報告されています。 頻度の高い副作用ではないため過度に心配する必要はありませんが、体調に異変を感じた場合や、肝疾患の既往がある場合には、医師の判断により血液検査などを行うことが重要です。 |
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リビドー減退・性機能障害 | フィナステリドを服用すると、リビドー(性欲)減退や性機能障害の副作用が起こる可能性があります。 リビドー減退は、フィナステリドを服用している方の1.1%に発現したと報告されています。また、性機能障害の主な症状は以下のとおりで、いずれも発現率は1%未満とされています。 フィナステリドには男性ホルモンであるDHTの生成を抑制する働きがあるため、リビドー減退や性機能障害が起こると考えられています。
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抑うつ症状 | フィナステリドを服用した方の中には、まれに抑うつ症状を訴えるケースが報告されています。フィナステリドを主成分とするプロペシアの使用成績調査では、精神障害の発現率は0.2%と報告されています。 フィナステリドによってDHTの生成を抑制するため、ホルモンバランスの変化が抑うつ症状に関与している可能性があると指摘されていますが、明確な因果関係はまだ解明されていません。また、AGAによる見た目へのストレスや、うつ病発症への不安なども抑うつ症状を引き起こす要因と考えられています。 フィナステリドを服用する前から抑うつ症状がみられる方は、服用しても問題ないか医師にご相談ください。 |
乳房圧痛・乳房肥大など | フィナステリドの副作用として、乳房圧痛や乳房肥大などがまれに報告されています。 フィナステリドによって体内のDHTが減少すると、体内の女性ホルモン(エストロゲン)のバランスが変化し、乳房の肥大などの症状が現れることがあります。乳房の張りや腫れ、触れたときの痛みなどの症状がある場合は、医師に相談しましょう。 |
- 服用開始後に「初期脱毛」と呼ばれる現象がみられることがあります。
- フィナステリドは、成人男性が対象とされています。女性や20歳未満の男性には処方されません。
- 女性や20歳未満の男性は、砕けたり割れたりしているフィナステリド錠に触らないようにしましょう(特に妊娠中の女性は、フィナステリドが体内に吸収されると胎児に影響を及ぼす恐れがあるため、十分に注意が必要)。
- 服用中や服用中止後1ヶ月間は献血できません。
- フィナステリドとアルコールは同時に摂取しないようにしてください。
- 個人輸入の場合、国内未承認の薬や偽物などが販売されている可能性もあります。信頼できる医療機関で処方してもらいましょう。
ザガーロカプセル
新しいAGA治療薬として「ザガーロ」が注目を集めています。
ザガーロは、2015年9月28日にプロペシアに続いて厚生労働省から認可されている「AGA治療薬」で、効果・効能について有効性・安全性が承認されています。
ザガーロの有効成分デュタステリドが、Ⅰ型・Ⅱ型5αリダクターゼ(還元酵素)の働きをブロックして、薄毛、抜け毛の原因を改善させます。
プロペシアよりも強力な発毛効果を持っているとされ、今後プロペシアにとって代わる薬として注目されています。
ザガーロ0.5mg 30日分 | 10,780円(税込) |
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内服薬(自費診療):初診料2,880円、再診料1,250円がかかります。
プロペシアとの違い
プロペシアとの違いは下記の通り、効果の範囲や治療目的の違いです。
プロペシア | ザガーロ | |
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効果の範囲 | Ⅱ型5αリダクターゼ(還元酵素)の働きのみを阻害 |
Ⅰ型・Ⅱ型両方の5αリダクターゼの働きを阻害 |
治療の範囲 | 男性型脱毛症の進行遅延 |
男性型脱毛症の改善 |
ザガーロの主成分である「デュタステリド」は、プロペシアの主成分である「フィナステリド」と同じく、5α-還元酵素阻害薬に分類されますので、同様の効果が期待できます。
5α-還元酵素阻害薬は、Ⅰ型、Ⅱ型があり、どちらもテストステロン(男性ホルモン)と結び付いて、男性の薄毛を引き起こし、促進させる最も強力な男性ホルモンを作成する「5α-還元酵素」の働きを阻害し弱めます。
フィナステリドは、上記の5α-還元酵素のⅡ型のみを阻害するのに対して、ザガーロの主成分であるデュタステリドは、Ⅱ型に加えてⅠ型も阻害しますので、より高い効果が期待されています。
ザガーロの有効成分デュタステリドが、Ⅰ型・Ⅱ型5αリダクターゼ(還元酵素)の働きをブロックして、薄毛、抜け毛の原因を改善させます。
実際、臨床試験において、ザガーロ0.5mg の24週間内服の結果は、フィナステリド1mgの同様の内服に比べて発毛効果が約1.6倍であるとするデータも発表されています。
また、効果効能についても、プロペシアは「男性における男性脱毛症の進行遅延」となっていますが、ザガーロは「男性における男性型脱毛症」となっており、より直接な効果効能が書かれています。
ザガーロの効果
飲み始めて大体3ヶ月くらいで効果が出始めますが、一般的には効果の確認までには6ヶ月間の連日服用が必要と言われています。
途中で服用をやめたり、効果が出たからといって服用を中断すると、ほどなく元に戻ってしまいますので、 効果が実感できた後も内服を続ける必要があります。
ザガーロの副作用
薄毛の改善に期待が寄せられるザガーロですが、副作用も報告されています。
発生頻度が1%以上報告されているものは、射精障害や性欲減退、勃起不全といった性機能不全です。
1%未満ですが、発疹や頭痛、抑うつ、腹部不快感、乳房の女性化や痛みなどの乳房の症状、そのほか肝機能障害やアレルギー反応、むくみやめまいなども報告されています。
- 女性・子どもは服用できません。妊娠中や授乳中の女性が体内に取り込むと、赤ちゃんに悪影響を及ぼす恐れがあります。
- フィナステリドは、成人男性が対象とされています。女性や20歳未満の男性には処方されません。
- ザガーロは経皮吸収されるため、飲み込まなくても、薬剤に接触しただけで影響を受けてしまいます。そのため女性や子どもが薬剤に触れることがないよう注意が必要です。
- ザガーロは肝臓で代謝されることから、肝機能に障害がある方への投与が禁じられています。
- 服用中は献血をすることができません。服用をやめてからも、6か月ほど期間をあける必要があります。
- 一部の薬には、ほかの薬との飲み合わせによって副作用や効果が薄れてしまうことがあります。ザガーロに併用して飲んではいけない「併用禁忌薬」はありませんが、常用している薬がある場合は、必ず医師に伝えてください。